Mike Moreno | Three for Three

1.The Big Push
2.For Those Who Do
3.You Must Believe in Spring
4.Clube da Esquina No. 1
5.April in Paris
6.A Time for Love
7.Perhaps
8.Glass Eyes

Mike Moreno (G),Doug Weiss (B),Kendrick Scott (Ds)
録音:2016年9月

Mike Morenoはテキサス州ヒューストン出身で10歳からギターを弾き始めニュースクール大学でジャズを学びました。以降多くの著名なミュージシャンとのツアー・レコーディングを経験、自身のリーダー作のアルバムも6枚発表しています。

1曲目Wayne ShorterのThe Big PushからMike Moreno宙に浮くようなギターの音色で、まるで空で舞っているような独自のフレーズとコード演奏で自由に演奏しています。その他しっとりと聴かせるバラードのYou Must Believe in Spring、A Time for Love、そしてApril in Parisのアレンジも素晴らしいです。

アコースティックギターによるClube da Esquina No. 1は正直よく分かりませんでしたが、Glass Eyesの曲調は幻想的というか個人的にはBill Frisellの影響を感じました。

Charlie ParkerのPerhapsはCのブルース進行曲で4ビートなので、ジャズギター学習者にとってはとても楽しめるかと思います。誰もが想像するジャズブルースギター的な演奏ではなくMike Moreno流ですが、彼の演奏が最高なのでおすすめします。

Mike Morenoがブルース進行曲でどのようなアドリブ演奏するのか気になりますね。もしPerhapsを知りたいという方は【TAB譜付ギタースコア】 Charlie Parker Collection for Jazz Guitar 【参考演奏&マイナスワンCD付き】という教則本がありますので、機会があればどうぞ。

「Three for Three」のMike Moreno全体を通した感想は、まず1音だけでもギターで納得させる事が出来る独自の音色を持っているという事。そして今回ピアノレスという事もあり、彼のコード演奏がたっぷり楽しめるアルバムとなっています。

ちなみにMy Music Master classによるMike Morenoのレッスンが少しだけですがYouTubeでこちらから見れますので興味あればどうぞ。



Adam Rogers | Sight

Adam Rogers(g,p on 1),John Patitucci(b),Clarence Penn(ds)
1.Sight
2.I Hear A Rhapsody
3.Kaleidoscope
4.Yesterdays
5.Memory’s Translucence
6.Let’s Cool One
7.Hourglass
8.The Moontrane
9.Beautiful Love
10.Dexterity
録音:2008年12月

Adam Rogersは1965年にニューヨークで生まれ11歳でJimi Hendrixを聴きギター演奏を始めた。音楽大学にてクラシック・ギターを学び、ジャズ・ギターはBarry Galbraith、Howard Collinsに師事。

1990年代からはジャズファンク・バンドで3枚のアルバムを残している。その後はMichael Breckerのバンド・メンバーとして活躍した。Adam Rogersはジャズ、ロック、ファンクまで幅広く演奏しています。

アルバム名である1曲目のSightからAdam Rogersの演奏に圧倒される。彼は逆アングルのピックの持ち方でギター演奏していて彼独自の特徴的なギターの音が楽しめる。I Hear A RhapsodyやYesterdays、Let’s Cool Oneでは彼ならではの演奏がジャズスタンダード曲で聴けて非常に楽しめる内容となっています。



Pasquale Grasso | Solo Standards

1.I’ll Remember April
2.Cherokee
3.All the Things You Are
4.There Will Never Be Another You
5.Just One of Those Things
6.Star Eyes
7.This Time the Dream’s on Me
8.Thou Swell
9.Dancing in the Dark
10.Tea for Two
11.My Heart Stood Still

Pasquale Grassoはニューヨークに活動の拠点を置くイタリア出身のギタリストです。2015年ニューヨークでのウェス・モンゴメリー・インターナショナル・ジャズ・ギター・コンペティションで優勝しました。

彼の演奏の印象はBud Powellなどの伝統的ジャズスタイルと、クラシックギターを感じる驚異のテクニックです。それらの音楽が非常に高いレベルで融合されソロギターとして表現されていますが、時にJoe Passと比較され現代のヴァーチュオーゾなど比喩されています。

高い演奏技術というと技術だけが目立たちそうですが、音色含め非常に美しいギター演奏なので自然に音楽として聴けます。ギターの演奏という観点では、ここまでピアノ的な演奏のソロギター演奏は前例がないです。

彼の長い指からはワイドストレッチが使用されたコードやフレーズ、そしてホールトーンの多様が他のソロギターとはひと味違うサウンドになっています。

マイルス以降ジャズが進化し続ける音楽という風潮の中、昨今ジャズギタリスト達が伝統的なジャズから離れて新しいジャズを模索していますが、Pasquale Grassoは伝統的なスタイルの延長線上で、新しい道を模索しているのかもしれません。

Pasquale GrassoのSolo Standardsでの演奏は、ジャズソロギターという形をより進化させる重要なアルバムです。

「Jazz Guitar Magazine Vol.4」ではソロギターが特集されPasquale Grassoの演奏も取り上げられています。気になる方はチェックしてみてください。




Gilad Hekselman | Words Unspoken


Gilad Hekselman (g), Joe Martin (b), Marcus Gilmore (ds), Joel Frahm (ts)

1.Ga’agua
2.New York Angels
3.April In Paris
4.Words Unspoken
5.Countdown
6.Someone To Watch Over Me
7.Yo Mama’s Blues
8.Time After Time
9.How Long Has This Been Going On
10.Will The Song Ever End?

イスラエル出身のGilad Hekselmanは、ニューヨークのニュースクール大学でジャズを学び、その後2005年にはギブソン・モントルー・インターナショナル・ギター・コンペティションで優勝した。

現代ジャズギター中で重要なギタリストの内の1人。高い演奏技術でユラユラしたフレーズとキッチリ弾きこむところの緩急、ギターの音色、先鋭的フレーズ、曲のアレンジなど聴きどころ満載のアルバムで、全てが群を抜いている。

「Words Unspoken」では彼のオリジナル曲のほか「Countdown」「April in Paris」「Someone to watch over me」などが収録されています。アルバム全体を通してGilad Hekselmanの高い技術で演奏されるフレーズが聴くことが出来ますがバリバリとした演奏という印象はなく、たとえ音数が多くとも音色のせいか静寂さを感じる。

Jazz Guitar Magazine Vol.3では新世代ギタリストのアドリブ・アプローチとしてGilad Hekselmanやその他、次世代インフルエンサーの演奏が掲載されていますので興味のある方は是非ご覧ください。



Federico Casagrande Trio | Spirit Of The Mountains

Federico Casagrande(g), Stefano Senni(b), Ferenc Nemeth(ds)
1.Beyond
2.New
3.Himalaya
4.Desert
5.Running Slow
6.Foroyar
7.Pelmo
8.Point Of View
9.Signore Delle Cime
録音:2007年12月 Balik Farm Studio Ebersol(Swizerland)

Federico Casagrandeはイタリア出身のジャズギタリストです。バークリー音楽大学を卒業し、2007年モントルー・ジャズ・フェスティバル・ギター・コンペティションで1位を獲得。

彼は何枚かのアルバムをリリースしイタリア新進のギタリストとして知られています。アルバムによってテレキャスターやアコースティックギターなど弾き分けているので印象が違うものとなります。

Federico Casagrande Trioの「Spirit Of The Mountains」ですが、まずリバーブなどのエフェクター効果、ボリューム奏法、繰り返すフレーズ、少ない音数で幻想的な演奏が印象に残る。曲のテンポもゆったりとした曲調が多いですが、ハッキリとしたリズムの曲とアコースティック的な曲想に分かれます。

音数は少な目ですがリズムの推進力と音の余韻が落ちる直前にギター演奏が続くところが聴いていて気持ちよい。一般的にはピアノレストリオでのギター演奏は合いの手的なコードあるいはフレーズと、ソロ演奏の扱いが別になる事が多いですが、Federico Casagrandeの演奏ではそれらが同じ扱いに感じます。



Wolfgang Muthspiel, Mick Goodrick | Live at the Jazz Standard


1.Throughout
2.Introduction to All Things
3.All the Things You Are
4.Liebeslied
5.Minimal
6.Falling Grace
7.Zen
8.Rem
9.Darn That Dream
10.Stella by Starlight
録音:2008年1月

Wolfgang Muthspielはオーストリアの出身のジャズギタリストです。ジャズを勉強する為に渡米し、その後ゲイリー・バートンのバンドのレギュラーの座を獲得後、腕を磨き次々とリーダー作を発表。

共演はポール・モチアン、クリス・ポッターやクリス・チークなど。2014年にはECMからの初リーダー作『ドリフトウッド』をリリース。今では現代ジャズを代表するギタリストの1人。

Mick Goodrickはバークリー音楽大学の教員で受け持った生徒の中にはBill Frisell, Pat Metheny, John Scofield, Mike Stern, Julian Lage, Lage Lundなど多くの著名な学生がいました。

Mick Goodrickは「In Passing」が有名ですが、ギターデュオというとどうしてもJoe Diorioのデュオアルバム「Rare Birds」を思い浮かべてしまいます。

1曲目のThroughoutはBill Frisellの曲で「Petra Haden and Bill Frisell」のデュオアルバムで演奏されていますが、Jim HallとBill Frisellデュオアルバム「Hemispheres (2 CD set) (Amazon Exclusive)」でも演奏されています。

Live at the Jazz StandardにはAll the Things You Areや、Darn That Dream、Stella by Starlightなど収録されていますが、どのようなジャズのアルバムでもジャムセッションで演奏するような曲がどのような演奏(もしくはアレンジ)か気になります。

Wolfgang Muthspielと Mick Goodrickの音の会話のやり取りで2人の世界観に引き込まれます。


Rale Micic, John Abercrombie, Peter Bernstein, Lage Lund | Inspired

1. Dream Steps | Rale Micic , Lage Lund
2. Alone Together | Rale Micic
3. Bon Ami | Rale Micic , Peter Bernstein , Lage Lund
4. My Funny Valentine | Rale Micic , John Abercrombie
5. I’m Getting Sentimentak Over You | Rale Micic , John Abercrombie , Lage Lund
6. All Across the City | Rale Micic , John Abercrombie , Peter Bernstein , Lage Lund
7. My Ldeal | Rale Micic , Peter Bernstein
8. I Should Care | Rale Micic , Peter Bernstein
9. Body and Soul | Rale Micic , Lage Lund
10. I Here a Rhapsody | Rale Micic , John Abercrombie , Peter Bernstein
11. Embraceable You |Rale Micic , John Abercrombie
※Recorded February 28, 2016 at Sear Sound, New York

Rale Micicはセルビア出身のジャズギタリストです。その他John Abercrombie、Peter Bernstein、Lage Lundという豪華すぎるメンバー。

Jim Hallの思い出と、4人の素晴らしいギタリストの演奏と音色、そして普段なら聴く事の出来ない組み合わせでデュオなどを楽しめる最高のアルバム。


Jim Hallの「Dialogues」では、Dream StepsとBon Amiが聴けます。


All Across the City


Bill Evans, Jim Hallの「Undercurrent」ではI’m Getting Sentimental Over Youと、非常にゆったりとしたテンポでのI Hear A Rhapsody、そしてMy Funny ValentineではJim Hallのハーモナイズドベースラインが聴けます。


1975年収録の「LIVE」ではベースにDon Thompson、ドラムはTerry Clarkeというトリオによる編成で軽快にI Hear A Rhapsodyが演奏されています。


「Seven Come Eleven」I Should Care


Body and Soulは「It’s Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin (Live)」に収録されていますがJim Hallらしい演奏で本当に素晴らしいアルバムです。Charlie Haden & Jim HallでもキレキレなJim Hallの演奏がBody and Soulで聴けるのでもし機会あればどうぞ。



Lage Lund | Small Club, Big City


Lage Lund (g) Orlando Le Fleming (b), Marcus Gilmore(d), Jamire Williams(d)
1.Beats
2.Stairway To The Stars
3.All The Things You Are
4.Worms
5.I’m Getting Sentimental Over You
6.Drawl
7.You Stepped Out Of A Dream
録音:2011年

Small Club, Big Cityはトリオで演奏された2011年発売のライブ盤です。ギタリストの16分音符の演奏はどうしても無機的になってしまいがちですが、Lage Lundの演奏はフレーズの1つのまとまり(モチーフ)が次々と有機的に繋がって、高水準で音楽が表現されおり非常に華やかです。

Small Club, Big Cityでの一番のお勧めはAll The Things You Areで、高音でフレーズを弾きながら瞬間的かつ継続的に入る低音が気持ちよく独奏のパートでも十分聴けます。

フレーズそのものでも十分楽しめるのですが、フレーズのリズムでも緊張と緩和のある素晴らしい演奏をしています。1つのフレーズが少しづつ形を変えて有機的に進行するようなギタープレイというとジムホールみたいですがLage Lundの演奏からは感じるものは多すぎて数回聴いただけでは消化しきれず、まだまだSmall Club, Big Cityは楽しめそうです。


Kurt Rosenwinkel | East Coast Love Affair

Kurt Rosenwinkel(g), Avishai Cohen(b), Jorge Rossy(ds)
1.East Coast Love Affair
2.All Or Nothing At All
3.Turn Out The Stars 
4.Pannonica
5 Lazy Bird
6.’Round About Midnight
7.Little White Lies
8 B Blues
録音: Small’s Club 1996年7月

Kurt RosenwinkelのEast Coast Love Affairというアルバムは全体を通して彼の演奏はもちろんの事ギターの音色と、まるでエフェクターを使用しているかのようなギター演奏と一緒に出される声、そして曲のリズムが聴きどころです。

最初にお勧めの’Round About Midnightですが、1曲目のEast Coast Love Affairと同じく、1拍1拍が重い感じとゆったりとしたシャッフルリズムの上にKurtの声とギターのアドリブが大変心地良く、そして曲後半の8ビートになるあたりはシビれます。

All Or Nothing At All、Lazy Birdは8ビートでイーブンなノリで新鮮で、そしてTurn Out The Stars、PannonicaではAvishai Cohenの演奏効果もあるかもしれませんがジャズ的な感じではなくシャッフル系16ビート調で軽快な曲想になっています。

最後のB Bluesはズッ・ズッというジャズでは聴かれないようなバッキングが聴けます。バッキングは恐らくエフェクターではなく実際に演奏していると思いますが、そういった事も含めてKurt Rosenwinkelの魅力かと。

East Coast Love Affairでは曲調が全体的に暗いですが、その雰囲気をポップなリズムで演奏するという事、そしてKurt Rosenwinkelの単音を演奏しながらそれを受ける形でバッキングする演奏というのが印象に残りました。



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