ジャズギターのバッキング名盤



ジャズギターのバッキング名盤といえるようなアルバムを紹介します。ジャズギターのバッキングはベースのいない編成と、ベースは居るがピアノレスという2種類で演奏が違ってきます。

ベースのいないデュオアルバムというのはギターがベースの役割とピアノの役割を同時にこなすという意味で、大変な演奏技術が必要となりますので、デュオの場合ボサノバなどと比べるとジャズの場合は格段にアルバムの数が下がると思います。

具体的にはハーモナイズドベースラインやウォーキングベースを弾きながらコンピングも同時に弾くスタイル、もしくは例は少ないですが演奏相手の管楽器などと同等の(管楽器の)立場で単音演奏するパターンがあると思います。

次にピアノレス編成ですが、この場合はベースが居るので単純にギターがピアノに代わりバッキングをするという形となります。今回ジャズギターバッキング盤紹介ですが、曲のバッキングだけでなく是非イントロとエンディングもどのように演奏されているか聴いてみて下さい。

「I Hear A Rhapsody」Jim Hallのバッキング

「Live At The North Sea Jazz Festival」

Jim Hall / Bob Brookmeyer
1.Skating At Central Park
2.I Hear A Rhapsody
3.My Funny Valentine
4.Body And Soul
5.In A Sentimental Mood
6.Sweet Basil
7.Darn That Dream
8.St. Thomas

Bob BrookmeyerとJim Hallのデュオライブアルバム、「Live At The North Sea Jazz Festival」から「I Hear A Rhapsody」の紹介。この曲ではJim Hallの素晴らしいバッキングと、ハーモナイズドベースラインのバッキングがバランスよく聴くことが出来ます。

曲の始めははっきりとしたギターのイントロというのはなくBob BrookmeyerとJim Hallのリラックスした演奏からなんとなく曲が始まり、4分音符中心のバッキングでたまに入れるシンコペーションなどや3連符系の演奏が素晴らしいです。エンディングもしっかりとキメていて参考になります。

 
 

「「Days of Wine and Rose」Jimmy Raney / Doug Raneyのバッキング

「Duets」

Jimmy Raney, Doug Raney(g)
1.Have You Met Miss Jones?
2.My One and Only Love
3.Action
4.Invitation
5.It Might as Well Be Spring
6.Days of Wine and Roses
7.Oleo
8.My Funny Valentine

Jimmy RaneyとDoug Raneyの親子デュオのアルバム「Duets」から「Days of Wine and Rose」。こちらはウォーキングベースが演奏されずにコンピングのみとなります。デュオ演奏では当たり前のようにウオーキングベースが演奏されがちですが、このアルバムではベースライン無しでも成立しています。

イントロはいきなりテーマメロディから始まり、エンディングは単音で演奏されて終わっているのであまり参考になりません。このアルバムではその他「Have You Met Miss Jones?」「My One and Only Love」「Oleo」も参考になると思いますので聴いてみて下さい。

※以降はピアノレスのバンド編成となります。

 
 

「Here’s That Rainy Day」Jim Hallのバッキング

「Easy Living」

Paul Desmond(as)
Jim Hall(g)
Gene Cherico (tracks 3 & 8),(b)
Percy Heath (tracks 4, 6 & 7)(b)
Eugene Wright (tracks 1, 2, 5 & 9-11)(b)
Connie Kay(ds)

1. When Joanna Loved Me
2. That Old Feeling
3. Polka Dots And Moonbeams
4. Here’s That Rainy Day
5. Easy Living
6. I’ve Grown Accustomed To Her Face
7. Bewitched
8. Blues For Fun
9. Rude Old Man
10. Polka Dots And Moonbeams
11. Bewitched

Paul Desmondのアルバム「Easy Living」から美しいスタンダード曲、「Here’s That Rainy Day」の紹介です。Jim Hallイントロから始まり、素晴らしい彼のバッキングが聴けます。この曲のキーはGです。他のジャズのスタンダード曲ではOut of nowhere、How High The Moon、I’ll Remember AprilなどありますがGのキーの曲はあまり多くはないと思います。

残念ながら最後はフェードアウトしてエンディングはありませんが、ミドルテンポの演奏しやすいテンポですのでジャズギター初心者の方にもバッキング練習にはお勧めの曲です。歯切れのよいJim Hallの演奏リズムとギターの音は参考になります。



「Angel Eyes」Jim Hallのバッキング

「Glad to Be Unhappy」

Paul Desmond(as)
Jim Hall(g)
Gene Cherico (2)(b)
Eugene Wright (1&3-10)(b)
Connie Kay(ds)

1.Glad To Be Unhappy
2.Poor Butterfly
3.Stranger In Town
4.A Taste Of Honey
5.Any Other Time
6.Hi-Lili, Hi-Lo
7.Angel Eyes
8.By The River Sainte Marie
9.All Across The City
10.Through The Night

Paul Desmondのアルバム「Glad to Be Unhappy」より、難しいゆったりしたテンポでの演奏の「Angel Eyes」ですがJim hallのテーマメロディ時のバッキング、そしてPaul Desmondのアドリブ時のバッキング、全て確かなリズムで演奏されています。そしてイントロ、エンディングの演奏も大変参考になります。

 
 

「Everything I Love」 Ed Bickertのバッキング

「Pure Desmond」

Paul Desmond(as)
Ed Bickert(g)
Ron Carter(b)
Connie Kay(Ds)

1.SQUEEZE ME
2.I’M OLD FASHIONED
3.NUAGES
4.WHY SHOULDN’T I
5.EVERYTHING I LOVE
6.WARM VALLEY
7.TILL THE CLOUDS ROLL BY
8.MEAN TO ME

Paul Desmondのアルバム「Pure Desmond」よりジャズスタンダード曲「Everything I Love」の紹介ですが、ギターのEd Bickertが素晴らしいバッキングをしています。

この曲のキーはFで軽快なリズムで演奏されています。曲の最初はイントロ無しでいきなり入っていますが、エンディングは参考になりますので是非聴いてみて下さい。

ジャズギタリストのEd Bickertですが、このアルバムだけでなく参考になるような素晴らしいアルバムが他にもあるのですが、残念ながら廃盤が多く入手困難となりますが、興味のある方は探してみて下さい。



「Gone With The Wind」Ed Bickertのバッキング

「The Guitar Mastery Of Ed Bickert」(2枚組)

2-1
Ed Bickert(g)
Don Thompson(b)
Terry Clarke(ds)

1.Sunday Kind Of Love
2.Triste
3.Blues In C
4.Yours Is My Heart Alone
5.What Is This Thing Called Love
6.I’ll Wait And Pray
7.Nica’s Dream

2-2
Ed Bickert(g)
Fraser MacPherson(ts)
Oliver Gannon(g)
Steve Wallace(b)
Barry Elmes(ds)

1.Gone With The Wind
2.Easy Living
3.What Am I Here For
4.I Hear A Rhapsody
5.Soul Eyes
6.So Nice

Ed Bickertのアルバムからもう一枚、ジャズギターのバッキング名盤と呼ぶにふさわしいアルバムといえるようなアルバムを紹介します。「The Guitar Mastery Of Ed Bickert」から「Gone With The Wind」ですが、Ed Bickertの素晴らしいバッキングを聴くことが出来ます。イントロはギターから入り、リズミックなEd BickertのバッキングがFraser MacPhersonのテナーサックスを支えます。

個人的にはEd Bickertの「Gone With The Wind」の伴奏は音色、リズム、コードの音使いなど全てが完璧と思えるような演奏でジャズギターのバッキングで一番素晴らしいと思える演奏かもしれません。この曲では典型的エンディングもばっちりキメています。

 
 

番外編

ジャズギターのバッキング名盤と力が入るようなアルバムではないかもしれませんが、個人的に好きなジャズギターのバッキングのアルバムを2枚紹介します。

「Portrait of Sheila」

Sheila Jordan(vo)
Barry Galbraith(g)
Steve Swallow(b)
Denzil Best(ds)

1.Falling in Love with Love
2.If You Could See Me Now
3.Am I Blue
4.Dat Dere
5.When the World Was Young
6.Let’s Face the Music and Dance
7.Laugh, Clown, Laugh
8.Who Can I Turn To?
9.Baltimore Oriole
10.I’m a Fool to Want You
11.Hum Drum Blues
12.Willow Weep for Me

Sheila Jordan(vo)のアルバム「Portrait of Sheila」から「Falling in Love with Love」「If You Could See Me Now」ですが、Barry Galbraith(g)のバッキングが素晴らしく、私はアルペジオ的なバッキングよりもこのようなコード演奏のバッキングの方が好きです。Sheila Jordanの歌もよいので是非じっくり聴いてみて下さい。


「As Time Goes By – Standard Collection Vol. 2 」

Sweet Jazz Trio

Lasse Törnqvist(cort)
Mats Larsson(g)
Hans Backenroth(b)

1.As Time Goes By
2.Robbin’s Nest
3.My One and Only Love
4.One Morning in May
5.September Song
6.Fine and Dandy
7.I’ll Be Seeing You
8.I Fall in Love Too Easily
9.Star Dust
10.Samba de Orfeu
11.Lost in The Stars
12.Two Sleepy People

最後はSweet Jazz Trioの紹介ですが、コルネット、ギター、ベースという編成もいいですし、Mats Larssonのギターのバッキングがいい雰囲気を出しています。だいたいは何か参考に出来るところを探すような聴き方になってしまうのですが、そういう雰囲気ではなくリラックスして聴けるジャズトリオだと思います。



error: