There Will Never Be Another YouでⅡ-Ⅴ-Ⅰ練習




「There Will Never Be Another You」(作曲:Harry Warren、作詞:Mack Gordon)はSonja Henie John Payneが出演した映画『アイスランド』に使用されましたが、ジャズミュージシャンに人気でChet Bakerなど他多数、多くのジャズアルバムで演奏されています。

今回はジャムセッションでも人気のジャズスタンダード曲、「There Will Never Be Another You」を題材にⅡ-Ⅴ-Ⅰに焦点を当てたギターの練習方法を紹介します。

There Will Never Be Another YouのⅡ-Ⅴ-Ⅰについて

There Will Never Be Another YouでのⅡ-Ⅴ-Ⅰは4小節目、8小節目、16小節目、20小節目、24小節目、28小節目となります。4小節目G7b9はCmに解決され、8小節目のEb7はAbに、16小節のBb7はEbへ、20小節目G7b9はCmに24小節目EbはAbに解決されるドミナントモーションです。

28小節目はすこし変わっていて解決のコードはEbですが、Am7b5-D7と来ていますのでGmに解決っぽくは弾けると思いますが解決音には注意が必要です。

There Will Never Be Another YouのⅡ-Ⅴ-Ⅰを曲全体で見てみると、基本的には分かりやすく4小節目ずつでⅡ-Ⅴ-Ⅰが来ています。Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのメジャー・マイナーも半々といったところでジャズギターの練習には最適のジャズスタンダード曲です。

ギターのポジションに関して

ギターで「There Will Never Be Another You」のようなEbのキーのジャズスタンダード曲を演奏する場合は、5弦6FのEb、もしくは6弦11Fを意識して演奏しますが、今回はギターのポジションは3Fから5Fのローポジションを使用して練習するパターンの紹介となります。

ギターの指板上ではEbは、5弦6Fか、6弦11Fですので、そこに人差し指か小指を半固定して演奏します。例えば5弦6FのEbに小指を置くポジションであれば人差し指に5弦3FのCが来ますので、同時にそのポジションでCmが演奏されます。

ただし6弦11F場合はフルアコの場合はギターの指板上の都合で、人差し指ではなく中指が半固定で演奏される場合が多いと思います。

There Will Never Be Another YouでⅡ-Ⅴ-Ⅰを練習する方法

There Will Never Be Another Youだけに限らずジャズスタンダード曲を練習する場合はⅡ-Ⅴ-Ⅰだけに焦点あてて練習する方法はジャズギター初心者には大変よい練習になると思います。

具体的なⅡ-Ⅴ-Ⅰの解説ですが、4小節目G7b9は、Gのハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ(HP5↓)は完全5度下のハーモニックマイナースケール。

Cのハーモニックマイナースケール、8小節目のEb7はオルタードスケール(Alt)。ちなみにオルタードスケールとは半音上(E)のメロディックマイナースケールです。

16小節のBb7はAlt、20小節目G7b9はHP5↓、24小節目EbはAltとなります。これだけでも十分な練習にはなると思いますがⅡ-Ⅴ-Ⅰ以外はガイドトーンがアルペジオでの演奏がお勧めの練習方法です。
251_1_There_Will_Never_Be_Another_You


最後の4小節

私も初心者の頃に悩みましたが問題なのがThere Will Never Be Another Youの最後の4小節だと思います。ここの箇所はコードが2拍ずつですし、ジャムセッションではそこそこの速さのテンポで演奏されますので、そのまま弾いてしまうと忙しいですし難しいと思います。

例を挙げると、こんな感じで想定して演奏すれば忙しくなく、纏まりのある演奏が出来ると思います。他にも例えばEbペンタトニックで演奏するとかEb一発でもアリだと思います。

参考までにThere Will Never Be Another Youの最後の4小節を有名ミュージシャンの演奏で確認してみましょう。

There Will Never Be Another Youの最後の4小節


Joe Pass
Ebの5度の音、Bbを連続で弾いてその後はブルースフレーズで絞め。



JimmyRaney
5度とルート音で繰り返しのフレーズで演奏。



Bob Brookmeyer
Eb-C7-Fm-Eb想定。この演奏好きです。C#の音使いがキモ。



Zootsims
同じフレーズの繰り返しからブルースフレーズの演奏。



StanGetz
Ebの5度フラット(ブルーノート)の音が印象的なブルースフレーズ。カッコイイですね。


There Will Never Be Another Youの最後の4小節は意外?にもペンタトニックで演奏される場合が多いです。続いては有名ジャズギタリストのお勧めアルバム紹介です。



お勧めアルバム

ジャズギタリストの「There Will Never Be Another You」の演奏はそう多くありませんがいくつか紹介したいと思います。※中には入手困難なアルバムもあるかもしれませんがご了承ください。

「Walking Up」


Joe Passのジャズの教科書のような演奏で全て参考になります。今回最後の4小節で紹介したものと同じアルバムです。

 

「Wes Montgomery & The Billy Taylor Trio」


Wes Montgomeryのアドリブ演奏は短いですが、彼のThere Will Never Be Another Youのテーマの演奏、4バースを聴いてみたい方は是非どうぞ。

 

「In Concert」


今回たまたま発見しました。かなり速いテンポで演奏されていて初心者の方にはあまり参考にはならないかもしれませんが、George Bensonの力強いピッピングでThere Will Never Be Another Youが聴けます。

 

「Visits Paris 1」

Jimmy RaneyですがこちらはThere Will Never Be Another You だけでなく、Stella By Starlight、Yesterdays、You Go To My Head、Body And Soulなどジャズスタンダード曲満載でお勧めアルバムです。

 

「Nardis」


Jimmy Raney、Doug Raneyギターデュオアルバム。1曲目にThere Will Never Be Another Youが入っています。バッキングを勉強したい方向け。



error: