ジャズギターのアルペジオ練習




アルペジオはジャズギターを演奏する上で基礎的な練習となりますが重要な練習でもあります。アルペジオとは具体的には何かのスケールを1音飛ばしに演奏して1度、3度、5度、7度とコードの重要な音だけを単音で演奏する事です。

なぜジャズギター演奏者にとってアルペジオ練習が重要かと言うと、アルペジオでスケールの重要な音を覚えて、アルペジオでそのコードのサウンドを単音で表現するからです。

例えば“コード・チェンジ”の表現はチャーリー・パーカーなどのビバップのジャズミュージシャンたちに高度な技術で演奏された事が始まりですが、アルペジオはコードを繋げる前の段階の、コード自体の素材の部分表現となります。

演奏者はコードに合ったスケールを使用されると思いますが、横の動きはどうしてもコード感が薄くなってしまいます。スケールは横の動きでコード感が弱く、そしてアルペジオは縦の動きでコード感が強いです。

特にソロでの演奏や、デュオ~トリオなど、演奏人数が少ない場合などは各コードを単音で表現するにはアルペジオ練習は効果的な練習方法となります。

アルペジオを練習する事によってスケールの重要な音が覚えられるので、スケール演奏でコード感は薄くなっても、例えば音を伸ばしたり目立つところでアルペジオの中の音を使用するとコード感が出る演奏が出来ます。

最初は音楽的なことは全く気にせずに各コードのルートから練習を始めますが、ジャズのアドリブ演奏時にはこんな演奏をするのか?という疑問が出てくるかもしれません。(私が初心者の頃はそう考えていました)

しかしアルペジオ練習の目的は単音でコード感を出す事と、視覚的にポジションを覚える事、そしてサウンドを耳で覚える事です。この事は常に意識して下さい。

お勧めのアルペジオ練習方法

お勧めの練習方法としては、Cのキーから始める事はせずにいきなり何かのジャズスタンダード曲でアルペジオ練習する事です。私は律儀にCのキーの2-5-1のアルペジオから始めましたが遠回りだったような気がします。

ジャズスタンダード曲でアルペジオ練習する事は結果的にアルペジオ練習だけではなく曲を覚える練習にもなり一石二鳥です。ですので何かスタンダード曲を覚えたいと思ったらその曲でアルペジオ練習する事をお勧めします。

スタンダード曲を習得する場合は、ルートから上行のアルペジオから初めて7度から下降のアルペジオやその他など、決まった練習方法も考えておくと良いかもしれません。

アルペジオも練習方法を考えれば、弾く度数の順番を変えるだけでかなりのバリエーションが出来上がると思います。

指板上のポジション

ジャズギターを弾く上で考えなければならないのはポジションの事です。基本的に何指を何フレットに置くかという事を考えて演奏するのが良いと思います。

つまり枯葉であれば、最初のCm-F7-Bbであれば、人差し指は5F、中指は6F、薬指は7F、小指は8Fと基本の場所を決めてしまうという事です。もちろんここのコード進行のところは全てという事ではなく、1~2小節分のフレーズその時だけです。

フルアコのジャズギターでは使用される指板は3Fからせいぜい15Fくらいかと思います。その間で基本となる指の置き場所を決めますが、一番ギターがよく鳴るフレットは3F~12Fあたりではないでしょうか。

もちろん1Fあたりや15F以上も使用される事もありますが、このあたりは個人の好みでしょう。ちなみに使用してはいけないという事ではなりませんが、ジャズギターではあまり開放弦を使用している方を見かけません。

ジャズではFのキーやBb、Ebのキーの曲が多いので、それらのキーで3F~12Fのフレットを使用する事が多いような気がします。

ギターという楽器特有の弾く場所によって同じ音程でも音色が違うところなども考慮して練習する事はとても大切な事だと思います。個人的にギターの音色の事はいつでも意識していますし、いつも良い音で演奏したいものです。

アルペジオ練習する時に意識する事

指を置く基本の場所を決めたら各コードのルートがどこにあるのかを意識してみて下さい。練習を続けていれば最終的には瞬間的に全ての度数がどこにあるのかという事が把握出来るようになると思いますが、最初は各コードのルートだけで構いませんので意識してみて下さい。

例えばメジャーコードもしくはセブンスのアルペジオであれば6弦のルートのポジションに中指が使用され、マイナーコードであれば6弦のルートのポジションに人差し指、もしくは小指が使用されるかと思いますが、慣れてくると解決のコードのルートが考えなくとも先読みしている状態になります。

この状態になると解決コードに移る前にその時の状況に合わせたフレーズを事前に考えられますし、移った瞬間にフレーズを弾くことが出来ます。



アルペジオの繋げ方

最初は各コードのルートから始めるアルペジオを練習しますが、次のステップとして、それらのアルペジオを滑らかに繋げる事を考えます。あるコードから別のコードに移る時のアルペジオは3度と7度がキーポイントになります。

例えば先ほども出ましたが、枯葉のCm-F7-Bbのところであれば、Cmの7度の音からF7の3度は半音階で滑らかに繋げられますし、F7の7度の音からBbの3度へは半音階ですのでこれも滑らかに繋げられます。

そういった感じで進行する前と後のコードの3度と7度は滑らかに繋がる事が多いです。この練習はガイドトーンといってコードの2音を練習する方法があるのですが、ガイドトーンの練習を併用するとより理解が深まると思います。

順番的にジャズギター初心者の頃はルートを意識したアルペジオ練習で、それが十分に演奏出来るようになったら、次に3度と7度を意識したアルペジオ練習となります。3度と7度を意識したアルペジオ演奏に関しては徹底的に練習する事をお勧め致します。

アルペジオ練習をアドリブ演奏に生かす方法

アルペジオ練習の最後にはいろいろなパターンを練習し、リズムを変えてたとえアルペジオだけでもかっこいいジャズらしい演奏が出来るようになるようになれるように工夫して音楽的に聴ける練習になれればそれ自体がアドリブ演奏の素材の一部になると思います。

練習(演奏)のアイデアとしてはモチーフの使用があります。同じ音の並びのままリズミックに演奏されるものですが、たとえコードが変更しても同じモチーフのまま演奏すると、アドリブ演奏にまとまりが出ます。

お勧めのアルペジオ練習方法を纏めると、何かのスタンダード曲を題材に、各コードのルートからアルペジオ練習を始める。十分に慣れたら開始する音の度数を変更したり、音の順番を変更して練習。

そして次にリズムを工夫して変更を加える。その他同じモチーフで演奏し続ける。最終的には“音楽的に聴けるアルペジオ練習”といった感じです。

加えて、アルペジオの素材をそのままコードに当てはめるのではなく、例えば枯葉でのCmの時にEbメジャーのアルペジオやGmの時にBbメジャーのアルペジオといった具合で、瞬間的に別のコードを想定して演奏するのですが、そこまで出来れば演奏の幅はかなり広がると思います。

特に2-5-1のひとまとまりのフレーズの流れから別のコードへ移動するとき、あるいはポジションをローポジションからハイポジションに変更したい時などで別のコードを想定してアルペジオを使用する時など、選択肢が多ければ多いほど思った通りの演奏が出来ると思います。

アルペジオ練習の練習期間の目安はレパートリーにしようと練習しているスタンダード曲の譜面を見ないで演奏出来るまでです。ジャズスタンダード曲の演奏経験にもよりますがすぐに慣れると思います。


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