[初心者ジャズギター向け]ブルース曲でアドリブ演奏



私がジャズギター初心者の頃はブルースあるいはロックなどで演奏されるブルースとはジャズブルースは何がどう違うのか、そしてコード進行についての違いなど疑問を持っていました。

アドリブに関してはペンタトニック一発だけならなんとなく演奏出来るがジャズっぽくはならない事も悩んでいました。

初心者ジャズギター向けに最適と思えるようなブルース曲でアドリブ演奏する練習方法ですが、やはりまずはお手本を徹底的に聴くことから始めるのがよいと思います。

ジャズのブルース進行曲とは

ジャズのブルース進行曲とは12小節ワンコーラスの曲で、例外はありますがその多くはFキーで演奏されます。具体的には「Billie’s Bounce」「Now’s The Time」「Straight No Chaser」「Au Privave」「Bag’s Groove」などがジャズのブルース進行曲と呼ばれる曲の一部です。

コード進行は以下の譜面を見て下さい。ジャズのジャムセッションで演奏される一般的なジャズのブルース進行曲といえば通常このコード進行が使用されます。

ブルースとジャズブルースは何が違うのか

こちらはブルースのコード進行ですが上のジャズブルースのコード進行の譜面と見比べるといくつかの違いがあります。

その違いというのは、ジャズブルース曲の場合4小節目(Cm7-F7)、8小節目(Am7b5-D7b9)、10小節目(C7)、12小節目(Gm7-C7)にジャズ特有のドミナントモーションが使用されているという事です。※4小節目(Cm7-F7)のところは伴奏は譜面通りですが、アドリブ演奏は状況により無視されます。

テンポにもよりますが、コード進行でドミナントモーションが使用されるという事は、ジャズはコード進行を表現する音楽であるので、アドリブ演奏でも同じ個所でドミナントフレーズが使用される場合があるという事です。つまりこれがブルースとジャズブルース違いです。



ブルース曲でのアドリブ練習方法

ブルース曲の練習方法の第一歩は、「Billie’s Bounce」など有名なジャズスタンダードのブルース進行曲の譜面を手に入れ、そしてその譜面を確認しながらその曲を沢山聴いて例えば4小節感覚と、12小節ワンコーラスの長さとコード進行の感覚を体が覚えるまで聴きこむことです。

加えて参考に出来るジャズギタリストの演奏を探します。例えば「Billie’s Bounce」をYouTubeなどで探すとCharlie Parkerが検索されジャズギタリストは少ないと思いますが、ジャズギタリストのブルース曲を聴きたい方は後ほどの『ジャズスタンダードのブルース進行曲のお手本アルバム紹介』を参考にして下さい。

話しは少しそれますが、Tab譜しか読めないジャズギター初心者の方は譜面を読めるようになる事をお勧めします。なぜなら管楽器など、他の楽器の教材も使用出来るので情報量が桁違いで何かと便利です。もちろん最初のうちはギタリストの教材のTab譜を参考にしても全然構いません。

参考に出来るお手本のジャズギタリストのブルース曲の演奏音源、そしてコード進行も手に入れたとして、これからその曲のコード進行に沿ってコードを表現し、尚且つコード進行をアナライズして演奏しますが、恐らくジャズギタリストの初心者の方にとっての最初の問題だと思います。

ジャズブルース曲を演奏する際に大まかにはペンタトニックスケールを主に、ガイドトーン、アルペジオ、各種スケール、クロマチック・アプローチが使用されます。

そして先にも言いましたが、ジャズブルース曲の特徴は4小節目(Cm7-F7)、8小節目(Am7b5-D7b9)、10小節目(C7)、12小節目(Gm7-C7)にジャズ特有のドミナントモーションが使用される場合があります。

これらを簡潔にまとめると、ペンタトニックスケールを使用してブルース的演奏を行い、ガイドトーン、アルペジオなどの使用によってコード進行に沿ってコードを表現し、ドミナントモーションを使用してジャズブルース曲を練習します。

スペースの関係上これらをワンコーラスに纏めました。こちらはペンタトニック以外の練習方法でアルペジオとガイドトーンを使用して8小節目まで練習し、最後の4小節はドミナントフレーズです。
GuideTone




アルペジオに関してはルートから始めるパターンは基本ですが、コードとコードを滑らかに繋げる為に半音階で繋げる練習も必要になります。

ブルース曲でのアドリブ練習方法として、この中からひとつを選択して何コーラスも演奏することはアドリブ演奏の為の良い練習になります。そして各素材を完全に体が覚えたら、ペンタトニックでブルースフレーズを加えて4小節づつ素材を変更してみて下さい。

社会人初心者ジャズギター向けアドリブ練習方法

最初に結論から。社会人初心者の方にお勧めのアドリブ練習方法は、『最初の8小節を軸となる1フレーズを使用して練習する』です。いいかえればモチーフを使用するとも言えるかもしれません。

例を一つ出すと、こちらはGeorge Bensonの演奏するBillie’s Bounceで使用されたフレーズの一部ですが、このフレーズを使用して以下の譜面ような練習をします。

George Benson

この軸となる1フレーズをアドリブ演奏の素材として使用し、ここにプラスアルファで足して演奏します。

この時点では音楽的な事は考えず、ひとつの素材として毎コーラス同じ軸となるフレーズを体が完全に覚えるまで練習します。

次にドミナントフレーズを追加して演奏します。
Blues_Dominant_Motion.mscz



このような練習で、その都度任意でドミナントフレーズをスキップしたり演奏したりすると、このブルース曲でアドリブ演奏が形成されます。

1つの軸となるフレーズを十分に体(指)が覚えたら、次の軸となる別のフレーズを自分で考えて練習します。もちろん今回のように誰か有名なギタリストのフレーズを変更して使用してもよいと思います。

そして8小節目(Am7b5-D7b9)、10小節目(C7)、12小節目(Gm7-C7)のⅡ-Ⅴ-Ⅰドミナントフレーズもどんどん増やして下さい。単調なアドリブ演奏ではなくなると思います。

特にⅡ-Ⅴ-Ⅰフレーズに関しては多くの参考書がありますし、好きなミュージシャンのアルバムを参考にしたりして探せばアイデアは尽きないと思います。

以上が社会人初心者ジャズギター向けのアドリブ練習方法です。どのような内容で練習するのか、もし社会人の方であれば限られた時間ではなかなか難しいと思います。この練習方法が皆さんにとって参考になれば幸いです。



ジャズスタンダードのブルース進行曲のお手本アルバム紹介

George Benson

『ジョ-ジ・ベンソン(Verve Jazz Masters series 22 George Benson)』

「Giblet Gravy」のBillie’s Bounceですが、もしこのアルバムが見つからない場合比較的入いしやすい、『ジョ-ジ・ベンソン(Verve Jazz Masters series 22 George Benson)』でも同じ演奏を聴く事が出来ます。もうこのアルバムだけでジャズブルース曲は十分と思えるほど素晴らしい演奏内容です。是非機会があれば聴いてみて下さい。

 

Wes Montgomery

「Fingerpickin」
Wes Montgomery「Fingerpickin」でのBillie’s Bounceですが、かなり速いテンポで演奏されています。ギターの音色はあまりよくなくソロも短めですが、参考になります。

「WEST COAST BLUES」

Wes MontgomeryのAu Privave。ソロは短めですが、ブルースフレーズとバップフレーズ、オクターブ奏法を参考にしたいかたはどうぞ。



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