[ジャズギター初心者向け] All The Things You Areアドリブ演奏




「All The Things You Are」(作詞:Oscar Hammerstein II、作曲:Jerome Kern)はミュージカル「Very Warm for May」(1939年)『邦題:五月にしては暑すぎる』のために作曲された曲ですが、皆さんご存知の通りジャズのジャムセッションでは人気の曲でよく演奏されると思います。

今回のAll The Things You Areのアドリブ演奏レッスン対象は社会人ジャズギター初心者の方です。仕事で忙しく時間がない社会人の方々に、このレッスンがジャズギターを楽しむきっかけになれば幸いです。

イントロ
ジャズのジャムセッションでAll The Things You Areが演奏される場合、ほとんどの場合この定番イントロが演奏されます。初心者の方向けに音源も載せておきますのでよければ参考にして下さい。

コード進行とアナライズ
All The Things You AreのフォームはABCDでAからCは各8小節ですが、最後のDだけ12小節で、ワンコーラス合計36小節です。曲のキーはAbですが、途中C、Eb、G、Eへのドミナントモーションが出てくるので初心者の方には難しいかもしれませんが大変挑戦しがいのある曲です。

以降の解説がもし不明な場合はスペースに限りがありますので別途ジャズ理論書を参照してみて下さい。「The Real Jazz Guitar」(楽天リンク)などお勧めです。

最初はシンプルにAbへⅥm-Ⅱm-Ⅴ7-Ⅰ、次の4小節がDb-Dm7(b5)/G7(b9)-C-Cなので少し分かりづらいかもしれませんがDbはルート音を抜かせばDm7(b5)と同じ構成音です。

ソリストのアドリブ演奏内容は曲のテンポに依存しますが、コード進行そのまま演奏する以外の可能性としては、Dm7(b5)を無視してDb-G7(b9)-C-Cと1小節づつ演奏するパターンか、Db を無視してDm7(b5)-G7(b9)-C-Cというのが考えられると思います。

ここの特徴としてはマイナー解決であるかのようなDm7(b5)-G7(b9)という流れで演奏しておいて解決はメジャーコードでというところです。

そして次にBパートのⅢm-Ⅵm-Ⅱ7-Ⅴですが、一時的にEbへのⅥm-Ⅱm-Ⅴ7-Ⅰという考え方でもでもよいと思います。次の4小節はGに変わっただけで内容はDm7(b5)-G7(b9)-C-Cと同じパターンですので省略します。
(i Real ProではAb-Am7/D7-G-Gそして、青本ではAb-Am7(b5)/D7-G-G)

Cパートですが、こちらのコードはAm7(b5)ではなく、Am7ですので完全にGメジャー解決のⅡm-Ⅴ7-Ⅰとなります。次も先ほど同様にEに変わっただけで内容はDm7(b5)-G7(b9)-C-Cと同じパターンですので省略します。

Dでは最初と同様にAbへⅥm-Ⅱm-Ⅴ7-Ⅰ、Db-DbmはサブドミナントメジャーからマイナーへそしてⅢmへと進行し、Bbm7からはAbへのⅡm-Ⅴ7-Ⅰという流れです。ここの特徴はサブドミナントメジャーからマイナーという流れだけです。

利用可能なスケールはI-アイオニアン/IIm7-ドリアン/IIIm7-フリジアン/IV-リディアン/V7-ミクソリディアン/VIm7-エオリアンVIIm7(b5)-ロクリアンスケールです。

一般的にはメジャーのドミナントモーション(Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ)のⅤではミクソリディアンスケール、オルタードスケール、そしてマイナーコードへの解決ではオルタードスケール、ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ(HP5↓)が使用される事が多いです。

アドリブ演奏の為の練習
All The Things You Areを各パートごとに練習のテーマを決めて紹介します。練習のテーマはA 、Bパートはガイドトーン、Cはアルペジオ、Dはモチーフ練習を使用した練習方法となります。

練習の目的はコードサウンドを耳で覚える事、単音でコードの表現方法を覚える事、そして指板のポジションを覚える事です。最終的にはこういう素材を崩して演奏したり、途中にコード演奏を入れたりするとアドリブ演奏が楽しめると思います。

1つの素材だけでワンコーラス通しで演奏出来るようになった後の練習パターンですが、1つの例として基本ガイドトーンで演奏して一部だけアルペジオやオルタードスケール演奏を追加する方法などがお勧めです。
All The Things You Are_1

ここで曲の最初の8小節を使用した2通りの練習パターンを紹介します。譜面はドミナントコードのEb7と、Cのところをアルペジオで演奏しています。

もちろん各コードで使用出来るスケールなど全て練習する事は重要です。しかし例えば忙しくて時間のない社会人の方であれば、最初はi-Real Proなどのマイナスワン演奏を流しながらこういうシンプルな練習でジャズのアドリブ演奏の雰囲気を楽しむところから初めてみても良いと思います。

もうひとつの練習パターンはドミナントコードのところでオルタードスケールやHP5などのドミナントフレーズを使用するパターンです。

All The Things You Areの歌詞

All The Things You Are (作詞:Oscar Hammerstein II / 作曲:Jerome Kern)

君は春が訪れることを約束するキスのようなもの
寂しい冬を長く感じさせる
君は息を止まらせるほどの夕方の静けさ
それは愛らしい歌が今にも始まろうとする間に震えている

君は星を照らす天使の輝きのよう
君が君でいるということは、僕にとって一番大切なことなんだ

いつの日か、君をこの腕に抱く日が来るだろう
そしていつの日か、君の存在全てが、まるごと僕のものになった時、
私にも神々しいほど素晴しい瞬間が訪れるだろう

You are the promised kiss of springtime
That makes the lonely winter seem long.
You are the breathless hush of evening
That trembles on the brink of a lovely song.

You are the angel glow that lights a star,
The dearest things I know are what you are.

Some day my happy arms will hold you,
And some day I’ll know that moment divine,
When all the things you are, are mine !

All The Things You Areのアルバム紹介はスペースの関係上、当ブログ別ページ「ギタリスト向け」All The Things You Areのアルバム紹介でどうぞ。



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